フォント(ファイルの形式)
フォントに関する基礎的な事項としてフォントファイルの形式(データ形式)について。
前置き
コンピューターで文字を扱うためにさまざまな決まりで管理されています。
文字コード
コンピューターで使用される文字には一つ一つに符号が割り当てられている。その割り当てには「ASCII」「EUC」「Shift-JIS」など…いくつかの種類があるが「Unicode」が現在のコンピュータの主流になっています。
文字セット
定義された文字の集合を文字セット(キャラクターセット)と呼び、JIS規格の文字セットでは使用頻度の高い文字を含む第一水準漢字(2,965文字)、第二水準漢字(3,390文字)に加え業種によって必要な特殊記号などを含めた第三、第四水準漢字まであります。
グリフセット
日本語フォントの多くは、同じ文字でもさまざまなバリエーションを含めたグリフセットと呼ばれる「Adobe-Japan1」を採用しています。この「Adobe-Japan1」も水準があり「Std(9,354グリフ)」「Pro(15,444グリフ)」「Pr5(20,317グリフ)」「Pr6(23,058グリフ)」が対応しています。さらに正字として使用している規格の違いでPr6Nなど「N」が付いている場合もあります。
さまざまなフォントファイルの形式
フォントは、文字(書体)を印刷やディスプレイに表示できるようにデータ化したものですが、いくつかの形式があります。
ビットマップフォントとアウトラインフォント
白と黒の2値で点(ドット、ピクセル)の集合体で表現するフォントをビットマップフォント。文字の輪郭線を数式で記録するフォントをアウトラインフォントと呼びます。
現在は文字を滑らかな曲線で描画するアウトラインフォントが主流になっており、以下で扱うフォント形式も全てアウトラインフォントとなります。
PostScript Font
アドビが1984年に開発した3次曲線を用いたアウトラインフォントの仕様。DTPの黎明期から長く使われてきたが後継のOpenTypeへの移行が促され、PostScript Type 1フォントのサポートが2023年1月をもって終了した。
TrueType Font
拡張子 .ttf .ttc
アップルとマイクロソフトが1990年にPostScriptフォントに対応して開発した2次曲線を用いたアウトラインフォントの仕様。フォント情報を単一のファイルで管理できるため、多くのフォントで採用されWindowsでは標準的なフォント形式になったが、MacにおいてはPostScriptと両立した。単一フォントのファイルの拡張子は「.ttf」複数フォントを含むファイルの拡張子は「.ttc」となります。
OpenType Font
拡張子 .otf .otc
マイクロソフトとアドビが1996年に開発したアウトラインフォントの仕様。前身の1995年にマイクロソフトが発表した「TrueType Open」のTrueTypeのアウトライン技術に加え、PostScriptのアウトライン技術もサポートした。したがってOpenTypeフォントのアウトラインデータ形式は、TrueType形式かPostScript形式のどちらか、または両方の形式で収録されている。単一フォントファイルの形式は「.otf」複数フォントを含むファイルの拡張子は「.otc」となります。
バリアブルフォント
アドビ、アップル、グーグル、マイクロソフトが2016年にOpenTypeフォント形式の拡張として発表した可変フォントの概念。書体の様々な属性がひとつのファイルに組み込まれる。
Web Open Font Format
拡張子 .woff
W3Cが2010年に勧告したWeb用のフォント形式。圧縮されたTrueTypeフォントまたはPostScriptフォントとXML情報で構成される。モダンブラウザ、IE9以降でサポートされる。
Web Open Font Format 2.0
拡張子 .woff2
W3Cが2018年に勧告したWeb用のフォント形式。フォントの圧縮率をさらに高めた。モダンブラウザでサポートされる。